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Published 23rd May 2011

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ヨーロッパの植物取引に関する伝統知識を守る新プロジェクト

【2011年5月23日 ハンガリー、ブダペスト発】
 野生植物の利用・採集およびその伝統的な意義や、東ヨーロッパの文化遺産の中での野生植物の重要性に関する情報を集めるためのプロジェクトが立ち上げられた。トラフィックはその一員としてプロジェクトに携わる。


このプロジェクトは「中央ヨーロッパの社会・経済格差を縮小するための野生植物の伝統的な採集・利用の推進(Promoting traditional collection and use of wild plants to reduce social and economic disparities in Central Europe)」と名付けられたこのプロジェクトは、チェコ、ハンガリー、ポーランド、スロベニアで3年にわたって実施される。

 このプロジェクトは、欧州地域開発基金(European Regional Development Fund)の支援を受けおこなわれる。2012年までに、社会的・文化的に受け入れ可能で、経済的にも実行可能であり、環境に配慮した、野生植物の採集・加工と利用に関するパイロットモデルを導入することを目指している。

 薬としての植物の利用は、古代から普遍的なものであった。しかし植物を採集するにあたっては、それらを正確に識別するためのノウハウや、そうした植物がみつかる場所に関する特有の知識を必要とする。そうした情報は、世代から世代へ受け継がれているが、今日の都市化された社会においては、この伝統的な知識の多くが残念ながら失われつつある」と、ハンガリーを拠点として活動しているトラフィックの薬用植物オフィサーのアナスタシア・ティモシャイナは言う。

 知識が失われることは、特定の種の持続可能でない形での取引につながるかもしれない。それは人々の暮らしに影響を与え、少数民族や女性、高齢者といった特定の集団の重要な収入源をとり去ってしまうことにもなりかねない。

 中央ヨーロッパは現在も、薬やスパイスといった植物製品を西ヨーロッパの加工業者向けに輸出する、主要な輸出国である。野生からの採集は医薬品生産の30~40%を占めている。

ヨーロッパにおいては、およそ2000の植物が商業的に取引され、その60~70%が在来の種である。これらのうち90%にもなる植物種が野生から採集され、重要な市場や、多くの重要な医薬品の遺伝的基盤を作り出している。

 「野生から採集される薬用植物に関する分野が継続的に成長する中、こうした植物への需要によって自然資源を利用しつくすことなく、伝統知識の基盤が守られるようにするため、植物供給に向けた一貫したアプローチを展開する勢力に加わることは中央ヨーロッパの国々にとって重要なことである」とティモシャイナは言う。

 この新たなプロジェクトはハンガリーのブダペスト・コルヴィヌス大学主導の下、実施される。チェコ、ハンガリー、ポーランド、スロベニアの4ヵ国から、地方自治体やNGO、農業協議会といった様々な分野から9パートナーが参加する。

 トラフィックヨーロッパ/WWFハンガリーは、このプロジェクトに携わり、トラフィックがフェアワイルド・ファウンデーションとのパートナーシップを通じてフェアワイルド基準の実施を進めながら、持続可能な野生からの採集や取引を推進していく。

このプロジェクトは欧州地域開発基金による支援により実施されます。