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Published 31 December 2015

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違法なセンザンコウ取引 ミャンマーで急増

この週に出版された学術誌『Global Ecology and Conservation』に掲載されたトラフィック共著の調査報告書によると、センザンコウの生体、肉およびうろこの違法取引がミャンマーのモンラ(中東部シャン州にある町)で急増しているという。


2006~2015年にかけて著者による4度の訪問中、モンラの朝市や野生生物のトロフィー・ショップ(剥製など狩猟戦利品を販売する店)、野生生物の肉を提供するレストランの調査は、42袋分のうろこ・32体分の皮・16におよぶ胎児や部位を含んだワイン・27体のセンザンコウ全形が公然と販売されていることを確認した。この町がセンザンコウの主要取引拠点であることを明らかに示している。

 モンラで販売目的に供されているセンザンコウの原産地は、ミャンマーを含む近隣諸国からと見られ、さらにはアフリカ産という可能性もある‐というのは、アフリカを原産とする象牙、犀角やカバの歯などがすべて、近年この市場で確認されているからである。

 ミャンマーは、センザンコウやその他の野生生物の密輸の重要な経由地となっている。モンラは中国と国境を接するシャン州に位置し、センザンコウの需要が高い中国市場を満たすためだけの拠点である。

 ミャンマー国内での29件の押収と近隣国(タイ、インド、中国)からの23件の押収という2010~2014年の記録は、ミャンマーがセンザンコウの供給源であること、または、他国が供給源でミャンマーが経由地であることを示唆し、合わせて4339kgのうろこと518体のセンザンコウが押収されていたと、今回の調査により明らかにされた。

 センザンコウおよびその派生物の取引は、ミャンマーの法律で禁じられている。さらに、アジアのセンザンコウはすべてワシントン条約(絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約:CITES)附属書IIに輸出割当ゼロとして掲載されており、国際取引は認められていない。

 「継続的な需要と野生生物犯罪ネットワークの蔓延が、アジアのセンザンコウ4種すべてを絶滅寸前にまで追い込んでいる」と、トラフィックの東南アジア地域代表クリス・シェファード(Chris R. Shepherd)は述べ、「越境取引を大幅に減らし、この貴重な生物たちを永遠に失ってしまうことを防ぐため、アジア諸国の政府間の協力が必要とされている」と語った。

 トラッフィクは、ミャンマー政府に違法なセンザンコウ取引に立ち向かい、野生生物の悪質な越境取引を拭い去るために、地方当局と連携することを強く求める。

  『Pangolin trade in the Mong La wildlife market and the role of Myanmar in the smuggling of pangolins into China(モンラ野生生物市場でのセンザンコウ取引と中国へのセンザンコウ密輸におけるミャンマーの役割)』は、Global Ecology and Conservation誌上にオープンアクセスで掲載されている。