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Published 16th October 2012

  English 

アジアのイニシアティブ、種の識別課題への取り組みを支援

 【インド、ハイデラバード発 2012年10月16日】

 「もし、わたしたちが運ぶ動物種の半数を見分けられたら、困ったことになる」。と打ち明けたのは、“ケニー”と呼ばれるマレーシアの野生生物の密売人である。この言葉は、違法な野生生物取引による生物多様性の喪失を防ぐために東南アジア諸国が実施している取り組みの課題を象徴している。


  生物多様性条約(CBD)の世界分類学イニシアティブ(Global Taxonomy Initiative :GTI)と、それに関連した能力向上戦略において、分類学が関連情報の提供によって生物多様性の健全な管理を支援するような取り組みに着手することが、CBD第11回締約国会議(CoP11)で合意された。CBD-CoP11は、GTIの能力向上戦略を支援するために締約国政府を招待した。アセアン地域の14ヵ国といくつかのパートナーシップ組織によって設立された東・東南アジア生物多様性情報イニシアティブ(East and Southeast Asian Biodiversity Information Initiative:ESABII)は、CBDのゴール(目標)を実現するために活動している。

  その支援のために、東南アジアでトラフィックは、実行手段として有効な識別シートを制作している。使用法が分かりやすいこのシートは、東南アジア諸国の8ヵ国語すべてと中国語および日本語で入手可能である。識別シートは、現場のオフィサーが、対象種が合法的に取引されたものか、そうではないかを判定するのを手助けするために非常に貴重なツールとなることが証明されている。

  「ESABIIの一環として日本の環境省と協働できたことで、識別シートの中に新たな種を盛り込むことが実現した。さらにこの識別シートの中国語と日本語の制作をも可能にした」と、東南アジアでシートの制作を指導しているトラフィックの能力開発コーディネーターであるクレア・ビーストールは言う。 

 ESABIIの実績と将来の計画は、インドのハイデラバードで開催中のCoP11のサイドイベントで強調された。このイベントは、ESABII事務局である日本の環境省によって開催された。

 地域言語(東南アジア8ヵ国語)で作成されたトラフィックの識別シートは、2009年に発表されて以来、東・東南アジアの執行機関で利用可能であり、関連地域の何百人もの野生生物保護執行官のために実施される研修で利用されている。最新版は90種ほどが収録されている。

  本シートの英語の最新版は、トラフィックとアセアン(東南アジ諸国連合)野生生物法執行ネットワーク(Association of Southeast Asian Nations-Wildlife Enforcement Network:ASEAN-WEN)のウエブサイト上でダウンロードが可能である。

 追加で翻訳された、ブルネイ、カンボジア、中国、ラオス、インドネシア、日本、マレーシア、ミャンマー、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナムの各国語版は、数週間のうちに閲覧可能となるだろう。

  シートは、該当する種の識別方法のほか、類似種についての情報、関連法および主な取引形態などを解説している。

 「この最近の進展とESABIIを通じてASEAN-WENを支援するためにおこなわれた日本の環境省の継続的支援は、法執行官の間の能力と意識レベルを向上させるだろう。このような支援は、地域の生物多様性を危険にさらしている違法な野生生物取引に立ち向かうための手助けとなるだろう」と、ASEAN-WENの調整ユニットの高官Manop Lauprasert氏は言う。

 トラフィックは、このような貴重なルーツの作成を可能とした、日本の環境省およびその他のパートナーの支援に深く感謝している。